2017 年 6 巻 4 号 p. 191-196
〔目的〕本研究では,高齢者における上腕近位部周径の妥当性について検討した。〔方法〕地域在住高齢女性の35肩に対し,上腕近位部周径,BMI,全身骨格筋量,全身体脂肪量,三角筋厚,等尺性外転筋力,機能的挙上筋力を測定した。統計解析には,上腕近位部周径と他の測定項目との関係をピアソンの相関係数にて分析した。また,上腕近位部周径を目的変数,BMI を説明変数とした単回帰分析を行い,周径の予測値から残差を算出し,残差と他の測定項目との関係をピアソンの相関係数にて分析した。〔結果〕上腕近位部周径は,すべての測定項目との間に有意な相関関係が認められた。また単回帰分析の結果,BMI には有意性が認められ,その残差と全身骨格筋量,三角筋厚,機能的挙上筋力との間には有意な相関関係が認められた。〔結語〕高齢者における上腕近位部周径の測定値は,挙上トルクを発揮する三角筋の筋厚や筋量を反映した妥当性のある評価であることが示された。