ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
Print ISSN : 2186-3741
ISSN-L : 2186-3741
原著
バランス歩行テストの運動学的解析
村田 伸甲斐 義浩安彦 鉄平岩瀬 弘明
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2017 年 7 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

本研究の目的は,幅20cm・長さ5m の歩行路をはみ出すことなくゆっくり歩行する「バランス歩行テスト」の運動学的メカニズムを明らかにすることである。健常成人女性16名を対象に,歩行中の大腿直筋,大腿二頭筋長頭,前脛骨筋,腓腹筋内側頭の筋活動量について表面筋電計で測定し,歩行パラメータは歩行分析装置を用いて評価した。その結果,バランス歩行は通常歩行と比べて歩行速度,立脚時間,両脚支持時間,遊脚時間は有意に延長し,歩幅,ストライド長,ケイデンスは有意に減少した。また,バランス歩行中の大腿直筋,大腿二頭筋,前脛骨筋,腓腹筋の活動が有意に増加した。今回の結果から,バランス歩行では下肢の筋活動がバランスよく高まることから,高齢者の歩行能力向上や下肢筋力の協調トレーニングとして活用できる可能性が示された。またバランス歩行は,特殊な機器やスペースを必要とせず簡便に行えることから,高齢者の介護予防対策としての活用が期待される。

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© 2017 日本ヘルスプロモーション理学療法学会
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