ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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ISSN-L : 2186-3741
7 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
原著
  • 村田 伸, 甲斐 義浩, 安彦 鉄平, 岩瀬 弘明
    2017 年 7 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2017/04/14
    公開日: 2017/04/15
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,幅20cm・長さ5m の歩行路をはみ出すことなくゆっくり歩行する「バランス歩行テスト」の運動学的メカニズムを明らかにすることである。健常成人女性16名を対象に,歩行中の大腿直筋,大腿二頭筋長頭,前脛骨筋,腓腹筋内側頭の筋活動量について表面筋電計で測定し,歩行パラメータは歩行分析装置を用いて評価した。その結果,バランス歩行は通常歩行と比べて歩行速度,立脚時間,両脚支持時間,遊脚時間は有意に延長し,歩幅,ストライド長,ケイデンスは有意に減少した。また,バランス歩行中の大腿直筋,大腿二頭筋,前脛骨筋,腓腹筋の活動が有意に増加した。今回の結果から,バランス歩行では下肢の筋活動がバランスよく高まることから,高齢者の歩行能力向上や下肢筋力の協調トレーニングとして活用できる可能性が示された。またバランス歩行は,特殊な機器やスペースを必要とせず簡便に行えることから,高齢者の介護予防対策としての活用が期待される。

  • 安彦 鉄平, 村田 伸, 大杉 紘徳, 窓場 勝之, 阿波 邦彦, 白岩 加代子, 堀江 淳
    2017 年 7 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2017/04/14
    公開日: 2017/04/15
    ジャーナル フリー

    本研究目的は地域在住高齢女性を疼痛の部位数によって分類し,比較することで,疼痛を有する高齢者の特徴を明らかにすることである。対象は,186名の高齢女性(平均年齢72.5±5.9歳)とした。測定は,身体機能および精神心理機能を調査した。対象者を疼痛0箇所,1箇所,2箇所以上で分類を行い,一元配置分散分析後,多重比較Tukey 法を用いて比較した。その結果,疼痛部位数が2箇所以上群は0箇所群あるいは1箇所群と比べて大腿四頭筋筋力体重比,上体起こし回数,片足立ち保持時間が有意に低く,Timed Up and Go test,睡眠不良状態,主観的不健康感は有意に高かった。疼痛の部位数0箇所群と1箇所群の間には,有意差を示した項目はなかった。以上のことから,疼痛の部位数という側面を考慮することで,疼痛を有する高齢者の特徴をより詳細に捉えることが可能なことを明らかにした。

  • 林 勇樹, 安彦 鉄平, 井上 遼一, 岡本 雄輝, 澤田 貴大, 村山 寛和, 白岩 加代子, 阿波 邦彦, 堀江 淳, 窓場 勝之, 村 ...
    2017 年 7 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 2017/04/14
    公開日: 2017/04/15
    ジャーナル フリー

    登山前のスクワット運動が,登山後の大腿四頭筋の筋疲労耐性に与える効果を検討した。対象は健常成人20名とした。登山2週間前に,登山と類似したスクワット運動を行う介入群(10名)と介入を行わないコントロール群(10名)に分類した。大腿四頭筋の筋活動をより強調させるため片脚にて実施した。登山前後に最大随意収縮の50%に相当する大腿四頭筋筋力を91秒間持続させたときの中間周波数を用いて筋疲労を評価した。測定筋は内側広筋,外側広筋,大腿直筋の3筋とし,コントロール群と介入群を比較した。その結果,コントロール群では,登山後に測定したすべての筋が登山前と比べ中間周波数の低下が早期に起こり,筋疲労が確認された。介入群は,単関節筋である内側広筋,外側広筋の中間周波数の低下は早期に起こらず,筋疲労は軽減された。これらのことから,登山前にスクワット運動を行うことで,筋疲労が軽減する可能性が示された。

  • 八谷 瑞紀, 村田 伸, 大田尾 浩, 井原 雄彦, 浅見 豊子
    2017 年 7 巻 1 号 p. 19-22
    発行日: 2017/04/14
    公開日: 2017/04/15
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,要介護高齢者143名を対象に50m ラウンド歩行テストに影響を及ぼす要因を検討することである。方法は,上下肢筋力,30秒椅子立ち上がりテスト(CS‐30),Functional reach test(FRT),片足立ちテストと50m ラウンド歩行テストとの関連から分析した。50m ラウンド歩行テストと有意な相関を認めたのは,相関係数が高い順にCS‐30(r=-0.48),FRT(r=-0.40),大腿四頭筋筋力(r=-0.23),片足立ちテスト(r=-0.20),握力(r=-0.17)であった。Stepwise 法による重回帰分析の結果,50m ラウンド歩行テストに影響を及ぼす要因は,CS‐30(β=-0.39)とFRT(β=-0.28)が抽出された。これらのことから,50m ラウンド歩行テストは,上下肢筋力や静的バランスよりも筋持久力や動的バランスに影響を受けるテストであることが示唆された。

    Editor's pick

  • ―Multi segment foot model を用いて―
    岡村 和典, 金井 秀作, 沖井 明, 江川 晃平, 沖 貞明
    2017 年 7 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 2017/04/14
    公開日: 2017/04/15
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究では,Navicular Drop test(ND test)の妥当性を明らかにする目的で,ND test の結果とND test 実施中に生じる足部運動との関連性を検討した。【対象と方法】健常成人12名を対象とした。ND test で測定する距骨下関節中間位での座位~安静立位に移行する際の舟状骨高の低下量に加え,前足部および後足部の三平面状における角度変化量を測定した。これらの測定には三次元動作解析装置を用いた。舟状骨高の低下量と各運動方向における足部セグメント間の角度変化量との関係をPearson の相関係数を求めて検討した。【結果】舟状骨高の低下量と有意な相関が認められたのは前足部に対する後足部の回内角度(r=0.63,p=0.03)であった。【結語】本研究の結果は,後足部回内アライメントの評価方法としてのND test の妥当性を支持するものであると考える。

短報
  • 山下 拳人, 森田 千瑛, 土居 更紗, 山口 理佳, 日沖 義治, 村上 貴士, 古野 俊佑, 兒玉 隆之
    2017 年 7 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 2017/04/14
    公開日: 2017/04/15
    ジャーナル フリー

    目的:理学療法場面において,セラピストの親和・非親和的な非言語対応が対象者の脳内神経活動に及ぼす影響について検討した。対象と方法:対象は健常成人男性12名とした。初めに安静開眼2分,そして親和・非親和条件動画を其々観察し,再び安静開眼を2分行った。結果:親和条件では,内側前頭皮質や前部帯状回に有意に高い神経活動性を認めた。非親和条件では,島や扁桃体,頭頂葉連合野に有意に高い神経活動性を認めた。結論:親和条件では,リラックス状態の持続,意欲や動機づけを形成する脳領域の神経活動が認められ,非親和条件では,陰性情動の持続,不安や疼痛刺激が誘発される脳内の神経活動が認められた。これらのことより,非言語コミュニケーションの違いがラポール形成の脳内神経基盤に機能的差異を及ぼすことが示唆された。

  • 中江 秀幸, 村田 伸, 甲斐 義浩, 相馬 正之, 佐藤 洋介, 大田尾 浩, 村田 潤
    2017 年 7 巻 1 号 p. 35-39
    発行日: 2017/04/14
    公開日: 2017/04/15
    ジャーナル フリー

    本研究は,若年者と高齢者を対象に安静立位,および認知課題有無の2条件におけるCross test の重心動揺を比較・検討した。若年群(19名)と高齢群(16名)の測定値を比較した結果,安静立位の総軌跡長が若年群に比べて高齢群の方が有意に大きかった。Cross test では,群と認知課題の有無を要因とした二元配置分散分析の結果,足長に対する前後方向の重心移動能である%FB と足幅に対する左右方向への重心移動能である%LR がともに群間に有意な主効果を認めた。%FB は群間と認知課題条件間で交互作用が有意であり,下位検定の結果,高齢群のみ,認知課題無しに比べて認知課題有りの%FB が有意に低値であった。本研究結果から,若年者に比べて高齢者の安静立位は不安定性であり,随意的重心移動能力も低いことが示唆された。また,認知課題を付加したCross test の結果から,若年者に比べて高齢者は前後の随意的重心移動能力に認知課題負荷の影響を受けやすいことが示唆された。

論文撤回
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