本研究の目的は,有料老人ホーム入居高齢者の手段的日常生活動作(IADL)に着目し,身体機能や精神機能,認知機能との関連と影響力について共分散構造分析を用いて明らかにすることとした。施設利用高齢者86名(男性24名,女性62名,平均年齢79歳)を対象に,身体機能や精神機能,認知機能,IADL を評価し解析に用いた。その結果,モデルの適合度はCFI=0.969,TLI=0.955,RMSEA=0.059,SRMR=0.054であった。身体機能はIADL と,認知機能は身体機能を介して間接的にIADL と関連した。これらの結果から,IADL を向上させるためには,高齢者の身体機能のみならず,認知機能を維持させる重要性が示唆された。