2018 年 8 巻 2 号 p. 71-75
本研究は,考案した膝内反軽減シューズを1ヶ月間履いて歩くことによって,変形性膝関節症患者の患者立脚型QOL である日本版膝関節症機能評価尺度(JKOM)が改善するか否かを検証した。対象は,変形性膝関節症患者20名(すべて女性:平均年齢63.8±7.1歳)とした。介入の効果検証にはベースライン期(A)とそれに続く介入期間(B)を設定して,その測定値を比較するABデザインを採用した。一般の運動シューズを履いて生活してもらった1ヶ月間の統制期間に比べて,膝内反軽減シューズを1ヶ月間履いて生活してもらうと,介入後にはVisual analog scale で評価した疼痛の程度,JKOM の合計点,下位項目の「痛みとこわばり」が有意に改善した。今回の結果から,膝内反軽減シューズは,変形性膝関節症患者の膝痛軽減および患者立脚型QOL の改善に効果的であることが示唆された。