要旨:本研究の目的は,地域在住女性高齢者における最速歩行時の歩行パラメータと身体機能との関連を明らかにすることである。体力測定会に参加した地域在住女性高齢者96名(平均年齢:73.7±5.7歳)を対象に,最速歩行時の歩行パラメータと下肢筋力や立位バランスなどの身体機能を計測した。重回帰分析の結果,歩行パラメータに独立して関係する因子として抽出された項目は,最大歩行速度では,trail making test(TMT),30-second chair-stand test(CS‐30),開眼片脚立位時間の3項目であった。歩幅とストライドの影響因子はともに長座体前屈距離,身長,CS‐30の3項目,両脚支持時間は上体起こし,年齢,体重の3項目であった。歩行角度は身長とCS‐30の2項目であった。これらのことから,地域在住女性高齢者の下肢筋力と柔軟性,バランス能力,および注意機能を改善することで,歩行能力の維持・向上を図れる可能性が示唆された。