ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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8 巻, 2 号
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原著
  • 政所 和也, 甲斐 義浩, 古後 晴基, 村田 伸, 岩瀬 弘明, 後藤 昌史
    2018 年 8 巻 2 号 p. 47-50
    発行日: 2018/07/31
    公開日: 2018/10/05
    ジャーナル フリー

    本研究は,僧帽筋の筋硬度が肩甲骨運動におよぼす影響について検討した。対象は,肩疾患を有さない高齢者女性24名とした。筋硬度の測定部位は僧帽筋上部,僧帽筋中部,僧帽筋下部の3点とした。運動課題は肩甲骨面挙上とし,上肢挙上角30°から120°の範囲で肩甲骨上方回旋角,肩甲骨後傾角,および肩甲骨外旋角を抽出した。各測定部位の筋硬度(mean±SD)は,僧帽筋上部:1.0±0.2N,僧帽筋中部:1.2±0.2N,僧帽筋下部:1.5 ±0.1N であった。僧帽筋下部の筋硬度と上肢挙上90°(rs=‐0.41p<0.05),120°(rs=‐0.43p<0.05)における肩甲骨後傾角に有意な負の相関が認められた。その他の筋硬度と肩甲骨運動に有意な相関は認められなかった。これらの結果より,僧帽筋下部の筋硬度が高値なものほど,上肢挙上中期以降の肩甲骨後傾角が小さくなることが示された。

  • 古後 晴基, 満丸 望, 岸川 由紀
    2018 年 8 巻 2 号 p. 51-56
    発行日: 2018/07/31
    公開日: 2018/10/05
    ジャーナル フリー

    [目的]本研究の目的は,Osgood-Schlatter disease(OSD)発症後の膝伸展に関与する身体因子の特徴を明らかにすることであった。[対象と方法]高等学校男子サッカー選手でOSD 発症者41名(54膝),非発症者160名(320膝)を対象とし,膝伸展に関与する身体因子5項目を測定した。OSD の発症膝と非発症者の両膝の2群間で,身体因子を比較した。[結果]OSD の発症膝は非発症膝と比較して,大腿直筋筋厚が有意に高値を示し,中間広筋筋厚が有意に低値を示した。また,大腿四頭筋筋力が有意に低値を示し,ハムストリングスの筋伸長性が有意に高値を示した。[結語]OSD 発症後の膝伸展に関与する身体因子の特徴は,大腿直筋筋厚が厚く,中間広筋筋厚は薄いことが示され,大腿四頭筋筋力が低く,ハムストリングスの筋伸長性は高いことが示唆された。

  • 江越正次朗 , 堀江 淳, 阿波 邦彦, 今泉 裕次郎, 市丸 勝昭, 直塚 博行, 白仁田 秀一, 林 真一郎
    2018 年 8 巻 2 号 p. 57-63
    発行日: 2018/07/31
    公開日: 2018/10/05
    ジャーナル フリー

    男性慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease; COPD)患者の健康関連QOL(health-related quality of life; HRQOL)に関連する因子について,ライフスタイルや社会背景に着目し検討を行った。安定期男性COPD 患者53名を対象として,SGRQ(St Georgeʼs Respiratory Questionnaire),ライフスタイル・社会背景,および身体特性として,年齢,BMI(body mass index),mMRC(modified Medical Research Council),呼吸機能,6MWD(six-minute walk distance),NRADL(the Nagasaki University Respiratory ADL questionnaire)を評価した。SGRQ の結果に基づき,高QOL 群と低QOL 群に分類し,各測定項目の比較を行った。その結果,ライフスタイル・社会背景では,運動習慣,home oxygen therapy(HOT)の使用,家外環境においてHRQOL との有意な関連が示唆された。

  • 辻井 優衣, 村尾 太郎, 岩瀬 弘明, 白岩 加代子, 安彦 鉄平, 堀江 淳, 内藤 紘一, 村田 伸
    2018 年 8 巻 2 号 p. 65-70
    発行日: 2018/07/31
    公開日: 2018/10/05
    ジャーナル フリー

    要旨:本研究の目的は,地域在住女性高齢者における最速歩行時の歩行パラメータと身体機能との関連を明らかにすることである。体力測定会に参加した地域在住女性高齢者96名(平均年齢:73.7±5.7歳)を対象に,最速歩行時の歩行パラメータと下肢筋力や立位バランスなどの身体機能を計測した。重回帰分析の結果,歩行パラメータに独立して関係する因子として抽出された項目は,最大歩行速度では,trail making test(TMT),30-second chair-stand test(CS‐30),開眼片脚立位時間の3項目であった。歩幅とストライドの影響因子はともに長座体前屈距離,身長,CS‐30の3項目,両脚支持時間は上体起こし,年齢,体重の3項目であった。歩行角度は身長とCS‐30の2項目であった。これらのことから,地域在住女性高齢者の下肢筋力と柔軟性,バランス能力,および注意機能を改善することで,歩行能力の維持・向上を図れる可能性が示唆された。

短報
  • 安彦 鉄平, 村田 伸, 甲斐 義浩, 中野 英樹, 松尾 大, 川口 道生, 松本 武士, 吉浦 勇次, 角 典洋
    2018 年 8 巻 2 号 p. 71-75
    発行日: 2018/07/31
    公開日: 2018/10/05
    ジャーナル フリー

    本研究は,考案した膝内反軽減シューズを1ヶ月間履いて歩くことによって,変形性膝関節症患者の患者立脚型QOL である日本版膝関節症機能評価尺度(JKOM)が改善するか否かを検証した。対象は,変形性膝関節症患者20名(すべて女性:平均年齢63.8±7.1歳)とした。介入の効果検証にはベースライン期(A)とそれに続く介入期間(B)を設定して,その測定値を比較するABデザインを採用した。一般の運動シューズを履いて生活してもらった1ヶ月間の統制期間に比べて,膝内反軽減シューズを1ヶ月間履いて生活してもらうと,介入後にはVisual analog scale で評価した疼痛の程度,JKOM の合計点,下位項目の「痛みとこわばり」が有意に改善した。今回の結果から,膝内反軽減シューズは,変形性膝関節症患者の膝痛軽減および患者立脚型QOL の改善に効果的であることが示唆された。

    Editor's pick

  • 平田 尚久, 田中 聡, 沖 貞明, 坂村 慶明, 岡村 和典, 金井 秀作
    2018 年 8 巻 2 号 p. 77-83
    発行日: 2018/07/31
    公開日: 2018/10/05
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は高濃度人工炭酸泉を使用した下肢浴の心血管系,自律神経系,精神心理に対する効果を,不感温度や高温度について検討することである。健常成人10名を対象に室温,湿度を調整した屋内で36℃・41℃の淡水・炭酸泉(1000ppm)の4種類の足浴へ別日に浸漬した。浸漬期間およびその前後で自律神経活動,血圧,脈拍数,快適度や温冷感を測定した。脈拍数は41℃炭酸群で浸漬中よりも浸漬後に有意に低下した(p<0.05)。交感神経活動変化率は36℃淡水群で浸漬前より浸漬中に有意に上昇した(p<0.05)。温冷感は全群で浸漬後よりも浸漬中で有意に上昇し,36℃淡水以外で浸漬前よりも浸漬中で有意に上昇した(p<0.05)。しかし,本研究の条件では36℃と41℃の炭酸浴との比較では有意な差はみられなかった。

  • 小林 佐季, 乕若 あかり, 野中 紘士, 安彦 鉄平, 白岩 加代子, 堀江 淳, 村田 伸
    2018 年 8 巻 2 号 p. 85-89
    発行日: 2018/07/31
    公開日: 2018/10/05
    ジャーナル フリー

    本研究は,大腿中央前面筋厚(以下,筋厚)・脂肪厚(以下,脂肪厚),大腿周径,大腿前面筋硬度(以下,筋硬度)測定の検者内・検者間再現性と膝伸展筋力との関連を検討した。対象は,健常成人20名(平均年齢:男性20.1±0.3歳,女性20.2±0.4歳)の両下肢計40脚であり,筋厚,大腿周径,筋硬度を各2回ずつ測定し級内相関係数を求め,検者内・検者間での再現性を検討した。また,膝伸展筋力と各項目との相関をPearson の積率相関係数を求めて検討した。その結果,筋厚,脂肪厚,大腿周径の再現性は,男女ともに級内相関係数が0.9以上と極めて高かったが,筋硬度は検者間で男性が0.763,女性が.787と低い値を示した。筋力との相関では,男性の大腿周径のみに有意な相関(r=0.54,p<0.05)が認められた。これらの結果から,筋硬度の測定は測定値の再現性に留意すること,また男性の大腿周径は膝伸展筋力を反映するが,女性の大腿周径の測定値は脂肪厚の影響を考慮する必要性が示唆された。

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