2019 年 9 巻 1 号 p. 7-11
要旨:本研究の目的は,幼児の重心動揺と歩行能力との関連を明らかにすることである。対象児45名(男児16名,女児29名)の重心動揺の測定と歩行分析を行った結果,重心動揺の指標とした総軌跡長と外周面積は,ともに通常歩行時の歩行率(総軌跡長r=-0.421,外周面積r=-0.347),立脚時間(それぞれr=0.474,0.426),両脚支持時間(それぞれr=0.398,0.346)の3項目と有意な相関が認められ,最速歩行時の歩行速度(それぞれr=-0.469,-0.382),歩行率(それぞれr=-0.388,-0.351),立脚時間(それぞれr =0.489,0.569),両脚支持時間(それぞれr=0.556,0.653)の4項目と有意な相関が認められた。これらの結果から,幼児期の重心動揺と歩行は密接に関連しており,幼児に対する重心動揺計を用いた姿勢制御能の評価の重要性が示された。また,幼児の姿勢制御能を高めることで,歩行をはじめとする身体運動の発育支援が効果的に行える可能性が示された。