本研究は要介護度認定を受けていない自立高齢者の膝痛および腰痛の有訴者率を明らかにすることを目的とした。対象は福岡県遠賀郡遠賀町在住の65-75歳の自立高齢者3,064人とし,対象者全員にアンケート用紙を送付した。回答を65-69歳,70-75歳および性別で分類し,χ 二乗検定を用いて有訴者率の比較を行った。回収率は71.1%,有効回答率は70.1%であった。各項目の有訴者率は,歩行時膝痛が18.1%,階段時膝痛が21.9%,歩行時腰痛が16.0%,腰部不安定感は7.3%,歩行時に膝痛,腰痛のどちらも有する者は8.6%だった。疼痛に関しては,年代による有訴者率に差は見られなかったが,男性に比べ女性の方が有意に高かった。本研究の結果から,農村地域の地方自治体在住の自立高齢者の膝痛の有訴者率は21.9%,腰痛は16.0%と推定され,疼痛を有する高齢者は女性の方が多いが,年代による差はなかった。