ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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9 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
  • 森 耕平, 村田 伸, 白岩 加代子, 安彦 鉄平, 岩瀬 弘明, 内藤 紘一, 野中 紘士, 中野 英樹, 堀江 淳
    原稿種別: 原著
    2019 年9 巻2 号 p. 53-58
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/09/06
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,プレサルコペニア高齢者の歩行速度と身体機能および認知機能との関連を検討することである。対象者を正常筋肉量群(48名)とプレサルコペニア群(17名)の2群に分類し,歩行速度(通常・最速)と身体機能(膝伸展筋力,上体起こし,開眼片足立ち時間,長座体前屈距離)および認知機能(Mini-Mental State Examination, Trail making test-Part A; TMT-A)との相関分析を行った。その結果,プレサルコペニア群の通常歩行速度と中程度以上の有意な相関が認められたのは,膝伸展筋力(r=0.51)およびTMT-A(r=-0.52)であり,最速歩行速度では膝伸展筋力(r=0.74),TMT-A(r =-0.66)および開眼片足立ち時間(r=0.56)であった。一方,正常筋肉量群の歩行速度はいずれの項目とも中程度以上の有意な相関は認められなかった。これらの知見より,プレサルコペニア高齢者は正常筋肉量の高齢者に比べ努力性の高い歩行である可能性が示され,下肢筋力,バランス能力および注意機能のわずかな低下をきっかけに歩行能力低下を生じる可能性が示唆された。

  • ―傾向スコア法による検証―
    岩瀬 弘明, 村田 伸, 白岩 加代子, 安彦 鉄平, 内藤 紘一, 野中 紘士, 堀江 淳
    原稿種別: 原著
    2019 年9 巻2 号 p. 59-63
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/09/06
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,地域在住の女性高齢者を対象にヘルスリテラシーと身体機能,心理機能および運動習慣との関連について検討するものである。研究デザインは横断研究で,Y市の体力測定会の参加者を対象とした。方法は,対象者の背景と日常生活状況,ヘルスリテラシー,運動習慣を自己記入式の質問紙調査で行い,身体機能(筋力,柔軟性,バランス能力,歩行能力)および心理機能(主観的健康感,生活満足度)を評価した。統計解析は傾向スコアを用いて交絡因子のコントロールを行い,その後ヘルスリテラシーに影響を及ぼす因子を明らかにするため,ロジスティック回帰分析を用いて検討した。解析の結果,ヘルスリテラシーに関連する因子として抽出されたのは,主観的健康感と運動習慣であった。これらのことから,ヘルスリテラシーを高めるためには,主観的健康感を高めるような取り組みと運動習慣を定着させるような取り組みが必要になることが示唆された。

  • 星 賢治, 花田 謙司, 渡邉 五郎, 蒲田 和芳
    原稿種別: 原著
    2019 年9 巻2 号 p. 65-70
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/09/06
    ジャーナル フリー

    本研究は要介護度認定を受けていない自立高齢者の膝痛および腰痛の有訴者率を明らかにすることを目的とした。対象は福岡県遠賀郡遠賀町在住の65-75歳の自立高齢者3,064人とし,対象者全員にアンケート用紙を送付した。回答を65-69歳,70-75歳および性別で分類し,χ 二乗検定を用いて有訴者率の比較を行った。回収率は71.1%,有効回答率は70.1%であった。各項目の有訴者率は,歩行時膝痛が18.1%,階段時膝痛が21.9%,歩行時腰痛が16.0%,腰部不安定感は7.3%,歩行時に膝痛,腰痛のどちらも有する者は8.6%だった。疼痛に関しては,年代による有訴者率に差は見られなかったが,男性に比べ女性の方が有意に高かった。本研究の結果から,農村地域の地方自治体在住の自立高齢者の膝痛の有訴者率は21.9%,腰痛は16.0%と推定され,疼痛を有する高齢者は女性の方が多いが,年代による差はなかった。

短報
  • 種継 真輝, 寺山 佳佑, 田村 滋規, 崎田 正博
    原稿種別: 短報
    2019 年9 巻2 号 p. 71-76
    発行日: 2019/07/22
    公開日: 2019/09/06
    ジャーナル フリー

    〔目的〕早期・初期変形性膝関節症患者における変形重症度に影響を及ぼす因子を抽出することである。〔対象と方法〕早期・初期変形性膝関節症患者女性48名の膝関節屈曲可動域,膝関節伸展可動域,30秒椅子立ち上がりテスト,開眼片脚立位保持時間を測定し,変形重症度に影響を及ぼす因子を検討した。〔結果〕変形重症度に影響を及ぼす因子として膝関節屈曲可動域が抽出された。〔結語〕早期・初期変形性膝関節症患者の理学療法においては,膝関節屈曲可動域の維持,拡大を集中的に行うことが特に必要であると示唆された。

  • -65歳未満の女性を対象として-
    田中 真一, 古後 晴基, 久保 温子, 村田 伸
    原稿種別: 短報
    2019 年9 巻2 号 p. 77-81
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/09/06
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,地域で生活する65歳未満の女性を対象に,「ロコモ25」で判定したロコモティブシンドロームに該当する女性の身体特性を明らかにすることである。対象は,地域で自立生活を営む20歳から64歳までの女性31名とした。ロコモ度テストとしてロコモ25を使用し,身体機能評価5項目ならびに身体組成評価(体幹筋量・上下肢筋量・骨密度・Skeletal Muscle mass Index(SMI))を評価した。ロコモ25により判定されたロコモ群12名と非ロコモ群19名を比較した結果,ロコモ群の身長が有意に低く,身体組成として評価したSMI,上下肢筋量および体幹筋量が有意に低値を示した。一方,骨密度および身体機能評価のすべての項目で2群間に有意差は認められなかった。以上のことから,ロコモ25でロコモティブシンドロームに該当する65歳未満の女性は,身体機能の低下はないものの筋量の低下が認められ,早期より適切な運動ならびに生活指導を行う必要性が示唆された。

活動報告
  • 大杉 紘徳, 栗原 靖, 河辺 信秀, 横井 悠加, 田上 未来, 桑江 豊, 池田 誠, 森下 勝行
    原稿種別: 活動報告
    2019 年9 巻2 号 p. 83-89
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/09/06
    ジャーナル フリー

    本報告では高齢者における14週間の自主運動の身体機能と身体組成への効果を検討した。高齢者18名(平均年齢74.1歳)を対象として,3種類の自主運動(1分間の片脚立位保持,椅子立ち上がり10回,早歩き)を14週間行わせた。身体機能(筋力,バランス,Short Physical Performance Battery)と身体組成を自主運動の実施前後で計測し,比較検討した。結果,バランス能力の向上が認められたが,骨格筋指標は14週間で減少した。それぞれの運動実施状況は各個人で異なっていた。また,自主運動の実施頻度は中間で減少していた。これらの結果から,今回行った自主運動は高齢者の身体機能を維持できるが,骨格筋量の増加のためには負荷量が不十分である可能性が示唆された。身体機能および身体組成の改善や定期的な運動の実施のためには指導者の定期的な介入が必要になると考えられた。

  • 相馬 正之, 中江 秀幸
    原稿種別: 活動報告
    2019 年9 巻2 号 p. 91-94
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/09/06
    ジャーナル フリー

    〔目的〕本研究の目的は,歩行が自立しているHoehn&Yahr 重症度分類stage Ⅱ ~Ⅲの在宅パーキンソン病患者を対象にし,足趾把持力と歩行機能およびバランス機能との関連性について検討することである。〔対象・方法〕Hoehn&Yahr 重症度分類stage Ⅱ ~Ⅲの在宅パーキンソン病患者10名とした。測定項目は,足趾把持力,最速および快適歩行速度,Functional Reach Test(以下,FRT),片脚立位保持時間,Timed Up&Go test (以下,TUG)とし,足趾把持力との関係について,Spearman の順位相関係数を用いて検討した。〔結果〕足趾把持力は,FRT との間に正の相関関係を認めたが,その他の項目とは関係を認めなかった。〔結語〕これらの知見から,Hoehn&Yahr 重症度分類stage Ⅱ ~Ⅲの在宅パーキンソン病患者の足趾把持力は,静的バランス機能を反映する可能性が示唆された。

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