2019 年 9 巻 3 号 p. 105-112
要旨:本研究の目的は,頚部痛患者における神経障害性疼痛(NF)の有無により疼痛強度および能力障害に関与する因子が異なるかどうかを明らかにすることであった。頸部痛を有する外来患者59名を対象として,神経障害性疼痛(NF)群と非神経障害性疼痛(nonNF)群における疼痛強度,能力障害に関与する因子の違いを検討した。その結果,NF 群はnon-NF 群と比較し,疼痛強度,能力障害,破局的思考,運動恐怖感,抑うつ状態,不公平感,頚椎可動域において臨床症状が重度であることが明らかになった。また,NF を有する場合,疼痛強度には抑うつ状態の程度が関連していること,および能力障害には破局的思考が強く関連していることが明らかになった。神経障害性疼痛の特徴を有する頚部痛患者においては,認知心理的因子を考慮した介入の必要性が示唆された。