2019 年 9 巻 3 号 p. 113-117
【目的】本研究の目的は,砂地歩行の有用性を下肢への衝撃の点から検討することである。【対象と方法】健常大学生24名を対象とした。対象はフォースプレート直上・礫・砂の3 つの異なる床面をそれぞれ歩行し,軸足立脚期の床反力(垂直・前後・左右方向)を測定した。【結果】礫および砂ではフォースプレート直上を歩行するのに比べ,立脚期後半の垂直床反力ピーク値と前方床反力ピーク値が有意に減少した。一方,立脚期前半の内側方向床反力ピーク値と立脚中期の垂直床反力最小値は礫および砂上の歩行で有意に高値を示した。礫条件と砂条件の床反力には有意差が認められなかった。【結語】砂地歩行では,立脚期後半の下肢への衝撃が緩和されることが確認できた。また,砂地歩行は下肢への衝撃を軽減しつつ前方への推進力を確保するための筋力や,左右へのふらつきに対応するためのバランス能力により負荷をかけることのできる有用な課題であることが示唆された。