2019 年 9 巻 3 号 p. 143-146
〔目的〕本研究の目的は,高校生野球選手における上腕近位部周径と肩関節挙上筋力との関係性を検討することとした。〔方法〕硬式野球部に所属する高校生125名を対象とした。測定項目は,投球側の上腕近位部周径と肩関節挙上筋力,および投球肩障害の有無とした。統計解析には,ピアソンの相関係数を用いて,上腕近位位部周径と肩関節挙上筋力との関係性を,健常群と投球肩障害群のそれぞれで検討した。〔結果〕健常群では,上腕近位部周径と肩関節挙上筋力との間に有意な正の相関関係が認められた。一方,投球肩障害群では,上腕近位部周径と肩関節挙上筋力との間に有意な相関関係は認められなかった。〔結語〕上肢の筋力を積極的に強化している高校生野球選手においても,上腕近位部周径は肩関節挙上筋力を反映する指標となることが示された。また,肩関節に何等かの異常がある場合では,その関係が認められない可能性が示唆された。