園芸学研究
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育種・遺伝資源
プリムラ・オブコニカのプリミン保有品種とフリー品種との交雑後代におけるプリミン分泌形質の異常分離
樋口 幸男荻原 勲箱田 直紀
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2002 年 1 巻 1 号 p. 17-20

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抄録

プリムラ・オブコニカのプリミン保有品種とフリー品種の交雑後代におけるプリミン分泌形質の異常分離の要因を調査した.
1.F1とフリー品種を交配した場合,異常分泌はフリー品種を花粉親にした場合は観察されず,F1を花粉親にした場合のみ観察されたことから,プリミン分泌形質の異常分離は選択受精によることが強く示唆された.
2.共通のF1花粉(Pp)を複数のフリー品種(pp)に交配した場合,種子親により分離比が異なる場合があり,また,共通のフリー品種に複数のF1花粉を交配した場合,花粉親により分離比が異なる場合があることから,異常分離には種子親と花粉親双方の遺伝子型が影響していると考えられた.
3.採種に用いた個体が異なると同一F2の分離比が異なる場合があり,プリミン分泌遺伝子と複数の配偶体遺伝子との間に連鎖関係があることが推察された.
4.さらに,フリー品種に保有品種を交配して育種する場合,BC1の採種に際してはヘテロ個体を花粉親に用いることによりフリー個体の割合を高めることができると考えられる.

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