園芸学研究
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繁殖・育苗
カンキツ類における幼実生への新梢接ぎ木法の検討
瀧下 文孝内田 誠草塲 新之助
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2002 年 1 巻 1 号 p. 21-26

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抄録

剥皮2~4週間後のカラタチ,ヒリュウなどの幼実生台木へ,実生および旧枝由来のカンキツ類新梢を接ぐ接ぎ木法の諸条件を検討した.
1.種子は剥皮することにより,発芽と生育が均一となった.実生は25℃のインキュベーターで2~4週間養成し,子葉から約5mmの上胚軸で切断し,台木および穂木として用いた.
2.接ぎ木方法は割り接ぎが適しており,接ぎ木部分はセロファンテープで堅く固定した.接ぎ木後はビニル袋で保湿し25℃で2週間活着を促進した.その後徐々に馴化処理し,畑土が入ったプランターなどへ植え付けた.
3.生育時期が異なるカラタチとヒリュウとの相互接ぎ木を行ったところ,台木用実生としては剥皮2,3週間後が,穂木としては剥皮3,4週間後で活着率が高く,接ぎ木後の生育も良好だった.
4.代表的なシトレンジ類,キンカン属,カンキツ属,および育成品種の実生新梢をカラタチ幼実生に接ぎ木したところ,寧波キンカンは60%,他は80%以上の活着率が得られた.
5.旧枝から発生したカラタチ属,シトレンジ類,キンカン属,カンキツ属,育成品種の硬化中の新梢をカラタチ幼実生に接ぎ木したところ,活着率に差はあったが,寧波キンカン以外すべての品種で接ぎ木が可能だった.

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© 2002 園芸学会
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