園芸学研究
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栽培管理・作型
ユスラウメ台木に接ぎ木したモモ樹15品種の収量,乾物分配および主幹断面積の比較
矢野 隆井上 久雄清水 康雄新開 志帆越智 政勝
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2002 年 1 巻 1 号 p. 53-58

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抄録

ユスラウメ台木栽培に適した品種を探索するため,モモ15品種を試作し,収量,乾物分配および枝幹横断面の性状について調査した.
年平均収量は‘千曲白鳳’,‘あかつき’,‘よしひめ’,‘川中島白桃’で多く‘武井白鳳’,‘八幡白鳳’,‘やまなし白鳳’,‘瀬戸内白桃’で少なかった.果実生産性の高い品種は他の部位の乾物重量も多かったのに対して,生産性の低かった‘八幡白桃’,‘やまなし白鳳’,‘竜鳳’は総乾物重も低く,純生産量が少ないと考えられた.一方,‘武井白鳳’,‘瀬戸内白桃’は果実生産性は少なかったが穂木部の幹への分配は多く,総乾物重において高生産性品種との有意な差はなかった.穂木部における幹の性状と乾物生産についてみると,皮部の面積割合の高い品種はおおむね穂木部乾物重が少なかった.衰弱しやすいとされる‘川中島白桃’はF/L比が極めて高く,果実への分配が特異的に多くなった.この物質分配の不均衡は,樹勢衰弱を誘発させる一要因と考えられた.

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