園芸学研究
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収穫後の貯蔵・流通
カンキツ果実の発育中における抗酸化機能の推移
近藤 悟津田 和彦武藤 徳男中谷 宗一
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2002 年 1 巻 1 号 p. 63-66

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抄録

ウンシュウミカンの‘石地ウンシュウ’および‘南柑20号’,‘不知火’ならびにレモン‘リスボン’の果実発育中における抗酸化機能と総フェノール濃度およびアスコルビン酸濃度との関連を検討した.一般にスーパーオキサイドアニオン(O2)ラジカル消去活性は,各カンキツ果実の果皮で発育を通じて高かった.果肉での活性は‘不知火’および‘リスボン’を除き,成熟に向け減少した.果実中の1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル(DPPH)ラジカル消去活性の変化は,O2のそれらと異なった.果皮中のDPPHラジカル消去活性は各果実で満開後日数とともに減少したが,その活性は収穫時に再び増加した.果肉中のそれらの活性は‘不知火’および‘リスボン’を除いて満開後の日数とともに減少した.果皮中の総フェノール濃度とアスコルビン酸濃度は,果肉に比べ高かった.果肉中のアスコルビン酸濃度は果実の発育初期に高かったが,‘不知火’および‘リスボン’を除き,一般に成熟に向けて減少した.これらの結果は,カンキツ果肉においてアスコルビン酸が活性酸素消去活性に影響している可能性を示唆する.

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© 2002 園芸学会
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