抄録
マルバカイドウ台木に接ぎ木したカラムナータイプ系統とM.9EMLA台木に接ぎ木した普通タイプ品種を用いて,3年生樹の着葉,樹冠内の相対日射量,物質生産量,並びに3~6年生樹の葉面積と相対光量子量の高さ別分布について比較検討した.
3年生樹の総葉面積は,カラムナータイプ7系統が0.7~2.2 m2,普通タイプ6品種が1.0~2.1 m2で,カラムナータイプ7系統と普通タイプ6品種にそれぞれ個体差が認められた.栽植面積当たりの葉面積指数と平均葉面積は,カラムナータイプ系統の方が普通タイプ品種より大きく,新梢の葉の面積分布は,カラムナータイプ系統が普通タイプ品種に比べてばらつきが大きかった.1年枝の平均節間長は,カラムナータイプ系統が1.3~1.8 cm,普通タイプ品種が2.7~3.0 cmで,カラムナータイプ系統が明らかに短かった.
3年生樹の樹冠内における新梢の短果枝上の葉面の相対積算日射量は,カラムナータイプ7系統の方が‘ふじ’より少なかった.
3~6年生樹のカラムナータイプ樹7系統と‘ふじ’の樹冠内では,樹齢が進むにつれて葉面積量が増加し,相対光量子量は低下したが,その傾向はカラムナータイプ7系統で著しかった.
3年生樹の年間乾物生産量は,カラムナータイプ7系統で212~743 g,普通タイプ6品種で429~812 gであった.単位葉重当たりの乾物生産量は,カラムナータイプ系統が2.7~3.1,普通タイプ品種が2.7~3.9で両者間に差はなかった.