2011 年 10 巻 2 号 p. 273-282
一般消費者(833名)および外食産業(143店舗)を対象に,食味に着目したネギの嗜好性調査を行った.一般消費者を対象にした調査では,生ネギでは香りは「強い」方が,煮ネギでは「甘み」は強く「柔らかい」方が,焼きネギでは「甘み」が強い方が好まれた.一方,生ネギの「辛み」,焼きネギの「硬さ」は,属性(性別,年齢層)によって嗜好性は異なった.外食産業を対象にした調査では,「辛み」は弱い方が,「甘み」は強い方が好まれたが,「香り」および「硬さ」は,外食産業によって嗜好性が異なった.重視する項目では,外食産業によらず,「鮮度」「国内産であること」を重視する店舗割合が高かった.また,「懐石・和食料理店」では,「味」,「香り」を重視する傾向があったが,その他の外食産業では価格,外観(長さや太さ)を重視する傾向が強かった.ネギに対する要望では,「懐石・和食料理店」では,特徴あるネギ品種の開発を望む声が多かったのに対し,その他の外食産業では,外観・形状の改善や価格安定,品質安定などを望む声が多かった.これらの調査結果は,ニーズにあったネギの販売戦略やネギ品種の開発の一助になると考えられた.