抄録
接ぎ木キュウリ苗の奇形葉発生要因の究明を目的として,接ぎ木法,台木品種およびホウ素処理が奇形葉発生に及ぼす影響を明らかにした.キュウリの接ぎ木苗に発生する奇形葉は,断根挿し接ぎ,割り接ぎ,挿し接ぎで発生し,呼び接ぎでは発生しなかった.呼び接ぎでは,穂木および台木胚軸の切断の有無にかかわらず,全く発生しなかった.奇形葉の発生は台木品種によっても異なり,台木として‘改良新土佐1号’など,セイヨウカボチャ × ニホンカボチャのF1品種を使用すると多かった.接ぎ木直後にホウ砂0.05~0.1%溶液を葉面散布すると,奇形葉の発生が抑制された.接ぎ木前の2日間ホウ素の供給を断つと,奇形葉が多発した.ホウ素処理は,台木の発根および接ぎ木後の活着に強い影響を及ぼした.