園芸学研究
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栽培管理・作型
定植前長日処理による四季成り性イチゴ‘なつあかり’の一年生苗の花芽分化促進と年内収量への影響
濱野 惠山崎 浩道矢野 孝喜本城 正憲森下 昌三
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2012 年 11 巻 4 号 p. 467-475

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抄録

四季成り性イチゴ‘なつあかり’の一年生苗を7~8月に定植して9~10月から年内に収穫するため,定植前長日処理について検討した.5月30日,6月17日,7月1日および前年7月に採苗した苗は,採苗時期に関わらず長日処理(24時間日長,1か月間)で花芽分化が促進されて9~10月から収穫可能となった.また,長日処理を行った一年生苗の年内収量は前年採苗苗と同等以上であった.すべての株で年内収穫可能な時期に花芽分化させるには,長日処理として24時間日長処理もしくは自然光14時間 + 夜間4時間処理が2週間以上か,16時間日長処理が1か月間必要で,1日当たりの明期時間が長いほど少ない日数で自然日長に対する花芽分化率の向上が可能だと考えられた.定植時期を7月28日,8月10日および9月2日とし,定植前に長日処理を3週間行ったところ,連続処理区(24時間日長)において,年内の収穫株率が50%であった9月2日定植以外は年内にすべての株で収穫可能となった.9月の収量は7月28日定植区で大きかったが,10月以降の収量は8月10日定植区で大きかった.夜間1時間ごとに15分間電照する間欠処理は連続処理と比べて花芽分化促進効果が劣り,8月10日および9月2日定植区では自然日長区と出蕾株率や出蕾花房数に差がみられず,総明期時間が短かすぎたと推察された.

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