2012 年 11 巻 4 号 p. 531-536
ナスの促成栽培における暖房コストの削減を目的として,ナスの地際部に設置したトンネル内に暖房ダクトを挿入して株元部を加温するシステム(ダクト加温システム)を開発した.暖房機が稼動した期間ではダクト加温区の方が対照区より夜間の茎表面温度が6.3℃高く,暖房機が稼動しなかった期間でもダクト加温区の方が対照区より約3℃高かった.ダクト加温システムによって側枝の成長および果実の肥大が促進し,対照区より収穫果数が多くなり,商品果収量が増加した.10℃に暖房したハウスのダクト加温区の商品果収量は,12℃のハウスの対照区と同等であった.本システムは従来の暖房システムを改良して行うことができるため,資材費として10 a当たり約2万円/年の投資で対応できる.従って,ナスの促成栽培においてダクト加温システムは収穫果数を確保しつつ暖房コストを大幅に削減できる実用的な栽培技術であるといえる.