園芸学研究
Online ISSN : 1880-3571
Print ISSN : 1347-2658
ISSN-L : 1347-2658
栽培管理・作型
オリエンタル系ユリ‘シベリア’の高温期の栽培におけるヒートポンプエアコンを用いた夜冷が生育・開花に及ぼす影響
二宮 千登志浜渦 敬三門田 太志松木 尚志
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 11 巻 4 号 p. 537-543

詳細
抄録

オリエンタル系ユリを高温期に栽培すると草丈が短くなり,また,がく割れの増加などにより生育が劣る.そこで,西南暖地の8月に‘シベリア’を定植してヒートポンプエアコンを用いて夜冷栽培を実施した.その結果,夜温を下げると昼温,地温も低下し,夜温22℃,19℃設定で管理すると,夜温が25℃以上となった無処理区より採花期がやや早まり,草丈が長くなり,がく割れが減少した.また,8月上旬の定植後3~4週間までの夜冷により,採花時まで夜冷した場合と同等に草丈が伸長した.定植4週間後のりん茎の乾物重には夜温による差はないが,茎,葉,花蕾および茎出根の乾物重は低夜温下での栽培で大きく,特に茎出根の乾物重で差が大きかった.これらのことから,低夜温での生育促進は,高温による茎出根の伸長抑制が緩和されて,養水分の吸収が良好になったためであると考えられた.

著者関連情報
© 2012 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top