抄録
市販のフルーツデンドロメーターはリンゴなど硬い果実の横径肥大変化を精密かつ経時的に知ることはできるが,果実が軟弱なイチゴの著しい縦径変化の測定には適用できない.そこで,イチゴ果実縦径の肥大を経時的に測定するため,デンドロメーターの改良を試みた.ハインドフレームの中央に切り込みを入れ,果柄を通し,果柄の周りをゴムで保護することにより,果柄を傷めることなく果実をフレームにぶら下げることができた.また,ばね定数0.049 N・mm−1のばねを用いたことで,果実肥大をスムーズに測定できた.さらに,ばねを約1 mm圧縮して果実先端をフロントプレートに固定することにより,日変化のデータを測定直後から把握することができた.そこで,収穫期別および成熟度別における果実縦径の日変化の違い,晴天日および曇天日における果実縦径の日変化の比較,果実周辺の湿度の違いを検討した結果,この改良デンドロメーターを用いることにより,イチゴ果実縦径の日変化を精密にモニタリングできること,また,果実周辺の環境ストレスが果実肥大に及ぼす影響を把握できることが確認できた.