園芸学研究
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収穫後の貯蔵・流通
チューリップ切り花における糖質処理が品質保持に及ぼす影響
渡邉 祐輔宮島 利功野水 利和中野 優市村 一雄
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2013 年 12 巻 2 号 p. 201-207

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抄録

消費者が観賞段階で切り花に糖質を連続的に処理することを想定し,異なる濃度のグルコース,スクロース,フルクトースおよびトレハロースを用いた連続処理が,チューリップ切り花の品質保持に及ぼす影響を調査した.‘イルデフランス’切り花を用いた実験では,いずれの糖質にも品質保持期間の延長効果が認められた.これらの糖質の中では,グルコース,フルクトースおよびスクロースの効果が高かった.しかしながら,1%グルコース以外の処理区では葉に障害が生じた.1%グルコースを用いた連続処理により,調査した12品種のすべてにおいて切り花の相対新鮮重が増加し,また,9品種において切り花の品質保持期間が有意に延長された.一方,生産者が出荷前に切り花に糖質を短期的に処理することを想定し,グルコースが‘イルデフランス’切り花の品質保持に及ぼす影響を調査したが,効果はみられなかった.以上の結果から,チューリップ切り花の品質保持には,1%グルコースを用いた連続処理が有効であると結論した.

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© 2013 園芸学会
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