園芸学研究
Online ISSN : 1880-3571
Print ISSN : 1347-2658
ISSN-L : 1347-2658
育種・遺伝資源
ストック(Matthiola incana)の花弁におけるシナピルグルコシドとケンフェロール配糖体
立澤 文見奥山 成美加藤 一幾庄野 浩資武田 純一小藤田 久義
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 13 巻 2 号 p. 85-89

詳細
抄録
ストック‘ビンテージホワイト’からシナポイルグルコシドおよび2種類のケンフェロール配糖体が主要成分として単離され,それらは化学およびスペクトル分析により1-O-(trans-sinapoyl)-β-glucopyranoside,kaempferol 3-O-(2-O-α-rhamnopyranosyl)-β-glucopyranoside-7-O-α-rhamnopyranoside,そして,kaempferol 3-O-(2-O-α-rhamnopyranosyl)-β-arabinopyranoside-7-O-α-rhamnopyranosideと同定された.‘ビンテージホワイト’から得られたこれら3つのフェノール化合物はビンテージシリーズの他の有色の8品種でも主要成分であった.これらのうち,1-O-(trans-sinapoyl)-β-glucopyranosideは,Arabidopsisにおいてシナピル化アントシアニン合成のための重要なアシル基供与体であることが知られている.さらに,有色のストックビンテージシリーズにおいて,シナピル化アントシアニンの比率が高いほど分子内コピグメンテーションによる花色の青色化が強いことから,1-O-(trans-sinapoyl)-β-glucopyranosideは,分子内コピグメンテーションによって引き起こされるストック花色の青色化において,重要な役割を果たしていることが推察された.
著者関連情報
© 2014 園芸学会
次の記事
feedback
Top