2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16149
近年,深層学習による短時間降水予測の研究が行われ始めたが,その予測精度の評価は対象降水・期間的に限定されており,また現業のモデルと比較したものも希である.本研究では,日本領域の降水を6時間先まで予測する既存手法を改良し,予測結果を網羅的に評価した.提案手法は50mmh-1を超える降水と5mmh-1を超える降水については,3時間先予測から現業の降水短時間予報よりも精度が良くなることが明らかとなり,降水短時間予報では考慮されていない何らかの物理現象を学習した可能性が示唆された.一方,弱い降水が継続する場合や冬季の降水等では予測性能が低下するが,夏季と共通する低気圧性の降水現象等では予測できる事例も存在し,モデルの改良やデータセットの検討の必要性が示唆された.