2015 年 14 巻 1 号 p. 17-24
P. peltatumは白から赤や紫色まで幅広い花色を持つが,黄色花はまだ作出されていない.そこで,淡黄緑色花を持つ野生種P. quinquelobatumとの交雑により黄色花の作出を試みた.P. peltatumを花粉親にした場合にのみ種子が得られ,莢当たり種子数は平均3.3であった.F1個体の花色は淡黄色からごく薄い紫色まで変異が見られ,背軸側花色は,すべての個体で向軸側よりも黄色味を帯びていた.また,紫色花の幅を広げるためP. peltatum(3系統)を花粉親に用いてP. × hortorum(14系統)と交雑を行い,胚珠培養を行った.175個の胚珠から337本のシュートが再生したが,馴化後の開花個体は12個であった.F1個体の花色はP. peltatumと同程度の紫色を示し,高いMv含有率(91%)を有する個体もあった.これらの内7個体は高い花粉稔性を示した.今回作出されたF1個体の染色体数倍加や自殖を行うことで,今後P. peltatumの黄色花作出や紫色花の変異拡大が期待できる.