園芸学研究
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14 巻, 1 号
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原著論文
育種・遺伝資源
  • 平島 敬太, 片山 貴雄, 石井 貴明, 柴戸 靖志, 三井 寿一
    2015 年14 巻1 号 p. 1-6
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    イチゴの炭疽病抵抗性評価において,小規模に比較的短い所要日数で,高い精度の評価結果が得られる抵抗性評価法を考案した.無菌播種した実生をサイトカイニンを含む培地でクローン増殖し,順化後の個体に1 × 104個・mL−1濃度のC. gloeosporioides分生胞子を接種することにより,播種後約120日の所要期間で,従来のランナー苗接種評価と同程度の高い精度の抵抗性評価が可能である.本法は,幼弱な培養苗を用いて順化ケースなどの小規模な閉鎖空間で評価を完遂できるため,接種用のほ場を必要としない.さらに,罹病性個体を損なうことなく未感染のクローン苗として維持できるため,引き続き遺伝解析の材料として利用可能である.
  • 杉山 慶太, 嘉見 大助, 室 崇人
    2015 年14 巻1 号 p. 7-15
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    ユウガオ属品種(ユウガオ:Lagenaria siceraria(Molina)Standl var. hispida,とヒョウタン:L. siceraria var. gourda)の花粉によるスイカの結実率や単為結実した果実の品質を検討した.また,様々なスイカ品種を用いてユウガオ花粉の受粉による結実率と単為結実果実の品質について調査した.さらに,早春期の栽培におけるユウガオ属の雄花の特性についても調査した.様々なユウガオ属品種の花粉でもスイカを単為結実させることが明らかとなった.ユウガオ属花粉による結実率はスイカ花粉よりも低かったが,ユウガオ品種はヒョウタン品種よりも高い傾向があり,受粉した品種による差が見られた.単為結実した果実の形質については,ユウガオ属花粉の品種による差は認められなかった.ユウガオ属花粉により,様々なスイカ品種が単為結実した.単為結実したスイカの果実は,スイカ花粉の受粉による果実(対照)に比べて縦長となり,空洞果が多く,糖度が高い傾向があった.稔実種子は観察されず,しいな数やしいなの着色はスイカ品種間での差異が認められた.ユウガオ属品種の雄花の特性には品種による差が認められたことから,スイカ栽培においてユウガオ属品種の雄花の開花時期を考慮することにより,種なしスイカの生産が可能である.
  • 本藤 加奈, 好川 雅信, 柿原 文香
    2015 年14 巻1 号 p. 17-24
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    P. peltatumは白から赤や紫色まで幅広い花色を持つが,黄色花はまだ作出されていない.そこで,淡黄緑色花を持つ野生種P. quinquelobatumとの交雑により黄色花の作出を試みた.P. peltatumを花粉親にした場合にのみ種子が得られ,莢当たり種子数は平均3.3であった.F1個体の花色は淡黄色からごく薄い紫色まで変異が見られ,背軸側花色は,すべての個体で向軸側よりも黄色味を帯びていた.また,紫色花の幅を広げるためP. peltatum(3系統)を花粉親に用いてP. × hortorum(14系統)と交雑を行い,胚珠培養を行った.175個の胚珠から337本のシュートが再生したが,馴化後の開花個体は12個であった.F1個体の花色はP. peltatumと同程度の紫色を示し,高いMv含有率(91%)を有する個体もあった.これらの内7個体は高い花粉稔性を示した.今回作出されたF1個体の染色体数倍加や自殖を行うことで,今後P. peltatumの黄色花作出や紫色花の変異拡大が期待できる.
栽培管理・作型
  • 本庄 求, 武田 悟, 片平 光彦, 屋代 幹雄, 進藤 勇人, 齋藤 雅憲, 吉田 康徳, 高橋 春實, 金田 吉弘
    2015 年14 巻1 号 p. 25-35
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    寒冷地で7月から収穫するネギの夏どりの作型(以下,7月どり)の開発に資するため,晩抽性の‘羽緑一本太’と耐暑性の‘夏扇パワー’を用いて無加温ビニルハウスの越冬育苗における播種期(9月1日(以下,9/1),9/16,10/1,10/15および11/4),セルトレーの規格(128穴と200穴)および1穴当たりの株数(1本と2本)の違いが苗の生育と収量に及ぼす影響を検討した.両品種とも,10/1以降の播種では播種期が早いほど,セルトレーの規格では200穴より128穴で,1穴当たりの株数では2本より1本で苗の生育が優れた.重回帰分析の結果,播種期は育苗中の生育に最も作用する正の要因であり,剪葉は2番目に作用する負の要因であった.そのため,播種期が早くても剪葉があれば苗の生育が劣る場合が認められた.7月どりに向けて,育苗中に剪葉が不要で,定植期に花芽が未分化であることを第1基準とし,定植期の葉鞘径が概ね6 mm以上であることを第2基準として実用性を判定した.その結果,実用性ありと判定した播種期,セルトレーの規格,1穴当たりの株数の組み合わせは,‘羽緑一本太’の場合,10/1・128穴・2本,10/1・200穴・1本,10/15・128穴・1本,10/15・128穴・2本および10/15・200穴・1本の5組であり,‘夏扇パワー’の場合,10/15・128穴・1本,10/15・128穴・2本および10/15・200穴・1本の3組であった.これらの苗の収量は‘羽緑一本太’の10/15・128穴・1本を除き,目標とした300 kg・a−1を超えた.
  • 萩原 栄揮, 富田 晃, 山下(土橋) 路子, 新谷 勝広
    2015 年14 巻1 号 p. 37-41
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    甘果オウトウの結実向上を目的に,貯蔵花粉の順化方法が花粉活性と結実率に及ぼす影響について試験した.−30°Cの低温で保存された貯蔵花粉の発芽率は,出庫直後14.0%であった.90%RHの条件で2時間順化すると,発芽率は大幅に上昇し42.4%になった.順化時間4時間までは発芽率に差がなく45.9%になった.90%RHの多湿な条件で順化すると,短時間で高い発芽率の向上が得られた.一方,30%RHの乾燥した条件において,4時間までの順化では,花粉発芽率に順化時間による有意な差はなかった.本試験で最も発芽率の上昇が認められた90%RHの条件で,順化温度が花粉発芽率に及ぼす影響を調査したところ,2時間の順化において,4°Cでは41.0%,20°Cは42.4%,25°Cは43.8%で,同程度の発芽率となった.順化時間が12時間になると25°Cでは発芽率が急激に低下し7.9%になった.順化方法の違いによる結実率への影響について見ると,慣行の方法で順化した貯蔵花粉を使った人工受粉の結実率は2.5%であった.90%RHの多湿な条件で2時間順化した貯蔵花粉を使って人工受粉すると,結実率は17.2%であった.以上のことから,貯蔵花粉を90%RHの条件で2時間順化すると高い発芽率が得られた.また,その花粉を使って人工受粉すると結実率も向上することが明らかとなった.
  • 坂本 隆行, 越智 資泰, 菊池 豊, 小林 恭, 田中 亨, 尾崎 行生
    2015 年14 巻1 号 p. 43-50
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    アスパラガスの全期立茎栽培において長柄収穫ハサミを利用する際の作業性の向上を目的として,まず,側枝誘引による視認性の改善が収量および品質に及ぼす影響について調査し,次に30,50および60歳代男性を被験者とし,側枝誘引が長柄収穫ハサミを利用した収穫の作業能率および作業姿勢に及ぼす影響について調査した.ヒモまたはネットを用いて側枝を上方へ誘引した場合の収量および品質は,いずれも対照区と同等であった.長柄収穫ハサミを利用した収穫の作業能率については,側枝誘引の有無による差はなかったが,50および60歳代男性被験者では,ヒモ誘引およびネット誘引区で,収穫作業時の体幹部傾斜角度が低減した.また,若茎の視認について,全被験者から対照区と比較して,ヒモ誘引区およびネット誘引区が若茎の視認が容易との意見を得た.一方,ヒモを用いた側枝誘引に要した作業時間は,ネットを用いた場合の21%で,有意に短かった.
収穫後の貯蔵・流通
  • 井上 久雄, 大嶋 悟士, 熱田 博之, 三好 孝典, 菊地 毅洋, 越智 洋之, 羽山 裕子
    2015 年14 巻1 号 p. 51-59
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    出荷後,市場や店頭において,腐敗やこはん症などの障害が問題となる‘清見’について,実用的なACE含有製剤処理の果皮障害抑制効果を明らかにするため,製剤の処理方法が出荷段ボール箱内の障害発生および腐敗に及ぼす影響を検討した.果実の減量は,無処理区に比べ布(メリヤス)によるSK-253処理区で有意に抑制されたが,SK-253に比べてカピリン濃度が低くより安価なSK-202処理区では無処理区と有意差がなかった.1果当たりの果皮障害発生面積は,SK-253区,SK-202区,無処理区の順で小さい傾向であった.大型選果機のワックス処理装置を用いて処理した果実では,異なる荷口から抽出した段ボール箱内の果皮障害は,無処理区の11.8%に対し,SK-202区で2.3%と少ない傾向が見られた.腐敗は,無処理区に対しSK-202区で少ない傾向であった.健全果率は,無処理区の87.0%に対し,SK-202区では97.7%と約10%向上した.SK-253を選果機で塗布処理した果実では,選果ラインを通過していない無処理果実に比べ,処理3日後からエチレン生成および呼吸速度が抑制される傾向にあり,処理9日後以降有意に抑制された.ACE製剤処理は,選果ラインを通過したことによる衝撃の影響をマスクしていると考えられる.
  • 水野 寛士, 橋本 早紀, 田中 仁奈, 山本 達也, 中野 龍平, 牛島 幸一郎, 久保 康隆
    2015 年14 巻1 号 p. 61-67
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    エダマメは成分変化の激しい生育初期に収穫されるので,良好な品質コントロールのためには最適収穫時期の正確な評価が必須である.本研究では,栽培日数が約85日の中早生種である‘ふくら’と‘湯あがり娘’を用いて莢ごとに開花日を記録し,糖やアミノ酸組成,水分含量,色差,莢の厚さなどの品質要因を幅広い生育期間を通じて精査した.‘ふくら’と‘湯あがり娘’はともに,開花後30日より前では,豆の大きさが小さすぎ(莢の厚さが8 mm以下),見栄えが悪く商品性がなかった.一方,開花後40日を過ぎると,‘ふくら’では急激に,‘湯あがり娘’では徐々に,緑色が退色し,乾燥過程が進行した.エダマメの主要な糖はスクロースであり,少量のフルクトースとマルトースも含まれていた.両品種でフルクトース含量は生育期間を通じて減少し,スクロース含量は開花後35日まで徐々に増加しピークに達した.エダマメに含まれる主要な遊離アミノ酸は酸味を呈するアスパラギンであり,うま味成分であるグルタミン酸と甘味を呈するアラニンも含まれていた.遊離アミノ酸については開花後25~35日でグルタミン酸とアラニンが比較的多く,開花後25日以降にはアスパラギンが一貫して低下した.エダマメの収穫は1樹単位で行われ,両品種とも開花日は約10日間に渡っていた.これらの結果を総合すると,両品種ともに開花後30~40日のエダマメが商品として良好な品質であると評価できる.また,莢の厚さや色指標は,同一生育段階ではばらつきが小さく,開花後日数や品質や成分の変化と密接な関係を示した.つまり,莢の厚さや色指標は生育段階を評価し,未熟または過熟莢を除く簡単な収穫・選別の指標として利用が推奨される.
  • 関澤 春仁, 丹治 克男, 吉岡 邦雄
    2015 年14 巻1 号 p. 69-74
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    食品添加物として指定されるゼオライトは陽イオン交換能を有し,放射性セシウムを吸着することが知られている.本研究で梅漬け加工時のゼオライト処理による放射性セシウムの低減効果を調べた結果,梅漬けの果肉中の放射性セシウムはゼオライトを添加することにより低減した.ゼオライトを添加しなかった場合の梅漬けの果肉の放射性セシウム濃度を100%とすると,ゼオライトを10%添加した場合の放射性セシウム濃度は55%になり,ゼオライトを20%添加した場合は54%になった.一方,造粒ゼオライトを10%添加した場合は放射性セシウムが74%になった.さらに,塩水を用いて加工した場合,10%のゼオライトを添加することにより放射性セシウム濃度は31%に低減した.
  • 鈴木 哲也, 新川 猛, 中野 浩平, 神山 真一, 櫻井 直樹
    2015 年14 巻1 号 p. 75-81
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    音響振動法によって,‘早秋’の果肉評価と果肉硬度保持技術の開発について検討した.‘早秋’果実において,おいしさの評点(非常においしくない:−2~非常においしい:+2)と弾性指標との間には有意な正の相関が認められた.おいしさの評点が0以上の時の弾性指標は約22 × 106 cm2・Hz2以上であり,収穫直後の果実の評点が最も高かった.1-メチルシクロプロペン(1-MCP)処理によって,音響振動法で計測した果肉硬度の保持効果は認められなかった.しかし,指で押すと崩壊しそうになる,または果肉の一部が水浸状になっている果実を軟化したと判断すると,1-MCP処理により軟化率は低く抑えられ,日持ち性は向上した.一方,防湿段ボール箱による果肉硬度保持効果は認められた.防湿段ボール箱区におけるおいしさの評点が0以上の時は収穫直後から収穫後約10日であり,慣行段ボール箱区より約4日長くなった.防湿段ボール箱区の重量減少率は慣行段ボール箱区の重量減少率より低く推移し,果実からの水分蒸散が抑制されたことが要因と考えられた.
  • 山家 一哲, 高橋 哲也, 石井 香奈子, 加藤 光弘, 小林 康志
    2015 年14 巻1 号 p. 83-87
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    青色LED光(最大波長465 nm,80 µmol・m−2・s−1)照射が,収穫後のウンシュウミカンの青かび病抑制と果実品質に及ぼす影響について検討した.果実に青かび病菌を接種後,6日間青色LED光照射を行った結果,照射果は無照射果と比較して,腐敗部(軟化部,菌糸部,胞子形成部)が有意に小さくなった.続いて,最初に青色LED光を6日間果実に照射した後,果実に青かび病菌を付傷接種し,腐敗部の広がりを調査した.その結果,接種菌濃度が低い場合において,照射果は無照射果と比較して腐敗部が有意に小さくなった.このことから,青色LED光は青かび病菌の生育抑制と果皮の病害抵抗性を高める可能性が示唆された.青色LED光照射の有無により,果実の減量歩合とクエン酸含量に差が見られたが,その他の果実品質については照射の影響は認められなかった.
新品種
  • 北村 八祥, 森 利樹, 小堀 純奈, 山田 信二, 清水 秀巳
    2015 年14 巻1 号 p. 89-95
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    炭疽病抵抗性と極早生性を併せ持つ高品質な促成栽培用イチゴ品種‘かおり野’を育成した.1990年に‘女峰’,‘アイベリー’,‘とよのか’および‘宝交早生’の間の総当り交配により育成を開始し,その後‘章姫’,‘あかしゃのみつこ’,‘とちおとめ’および育成集団から品種化された‘サンチーゴ’を交配親として加えながら,9世代に亘り相互に交配を繰り返して改良した炭疽病抵抗性系統群のうち,系統‘0028401’と系統‘0023001’を2003年に交配して得られた実生から選抜された.特性調査,現地適応性試験を経て2008年に品種登録出願を行い,2010年に品種登録された.最重要病害であるイチゴ炭疽病に対して,‘宝交早生’および‘サンチーゴ’と同等の強い抵抗性を持つ.‘章姫’よりも強い早生性を示し,普通促成栽培において11月下旬から収穫を開始することができ,12月までの早期収量,3月まで総収量ともに高い.食味は高糖度,低酸度で甘みを感じやすく,上品な香りを特徴としている.果実は大きく,果形は円錐形で,果皮は光沢の強い橙赤色,果肉色と果心色は白である.品種の普及には,行政,研究および普及の各組織と生産者団体が一体になったプロジェクトにより取り組み,三重県に限定せずに県内外の生産者に生産を認める許諾制度を設け,栽培指針を改良しながら消費者に対する販売促進を進めた結果,‘かおり野’を選択する生産者は三重県内外で大きく増加した.
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