園芸学研究
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育種・遺伝資源
ユウガオ属花粉を利用したスイカの単為結実誘導における品種間差異
杉山 慶太嘉見 大助室 崇人
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キーワード: 受粉, 単為結実, 属間交雑
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2015 年 14 巻 1 号 p. 7-15

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抄録

ユウガオ属品種(ユウガオ:Lagenaria siceraria(Molina)Standl var. hispida,とヒョウタン:L. siceraria var. gourda)の花粉によるスイカの結実率や単為結実した果実の品質を検討した.また,様々なスイカ品種を用いてユウガオ花粉の受粉による結実率と単為結実果実の品質について調査した.さらに,早春期の栽培におけるユウガオ属の雄花の特性についても調査した.様々なユウガオ属品種の花粉でもスイカを単為結実させることが明らかとなった.ユウガオ属花粉による結実率はスイカ花粉よりも低かったが,ユウガオ品種はヒョウタン品種よりも高い傾向があり,受粉した品種による差が見られた.単為結実した果実の形質については,ユウガオ属花粉の品種による差は認められなかった.ユウガオ属花粉により,様々なスイカ品種が単為結実した.単為結実したスイカの果実は,スイカ花粉の受粉による果実(対照)に比べて縦長となり,空洞果が多く,糖度が高い傾向があった.稔実種子は観察されず,しいな数やしいなの着色はスイカ品種間での差異が認められた.ユウガオ属品種の雄花の特性には品種による差が認められたことから,スイカ栽培においてユウガオ属品種の雄花の開花時期を考慮することにより,種なしスイカの生産が可能である.

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