抄録
ブルーベリーにおける裂果発生機構の解明および予防策の開発に必要な知見を得ることを目的として,ラビットアイブルーベリー‘Tifblue’の果実重,採取時期,成熟段階が裂果に及ぼす影響と果実の吸水経路を室内試験によって調査した.適熟果において,果実重,裂果率,吸水24時間後の吸水量および吸水速度の間にそれぞれ有意な正の相関が認められた.また,裂果率と吸水率の間にも有意な正の相関が認められたが,果実重と吸水率の間には相関関係が認められなかった.果実重が大きいことは吸水速度および最終的な果実への水の浸透量を増加させ,裂果感受性を高めたかもしれない.未熟な果実において裂果はほとんど発生しないのに対し,適熟果では裂果が発生し,その程度は採取時期・果実の部位により異なった.果実の吸水について,小果梗付着部と比較すると果皮からの吸水量はわずかであることから,裂果に関与する果実への吸水経路は小果梗付着部と考えられた.