園芸学研究
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育種・遺伝資源
カンキツのコルヒチン処理により作出した2x-4x-4x倍数性キメラの花粉および果実組織の倍数性と三倍体育種親としての活用
柳本 裕子金好 純子古田 貴音
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2017 年 16 巻 3 号 p. 249-257

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抄録

コルヒチン処理により得られた5品種・系統の2x-4x-4x倍数性キメラおよび9品種・系統の四倍体について,花粉の形態的特性と倍数性を調査した.供試した2x-4x-4x倍数性キメラおよび四倍体のすべての品種・系統で,花粉粒が二倍体よりも有意に大きく,11品種・系統で花粉稔性が低かった.このことより,花粉粒の大きさは,二倍体と明確に識別できる特性であることが示唆された.また,7品種・系統の2x-4x-4x倍数性キメラおよび9品種・系統の四倍体について,果実形質と組織別倍数性の調査を行った.調査したすべての四倍体で果皮が二倍体よりも厚かったが,2x-4x-4x倍数性キメラでは,品種・系統によって傾向は異なった.フローサイトメーターによる倍数性の分析では,2x-4x-4x倍数性キメラ果実の組織別倍数性は,供試した7品種・系統とも,フラベド,じょうのう膜,砂じょうで二倍性と四倍性の2つのピークを,アルベドでは四倍性のピークのみを示した.花粉は,2x-4x-4x倍数性キメラと四倍体はいずれも二倍性と四倍性の2つのピークを示した.2x-4x-4x倍数性キメラおよび四倍体を種子親とし,二倍体‘大橘’を花粉親とした交配によって得られた実生は三倍体であり,四倍体と同様に,2x-4x-4x倍数性キメラは三倍体を作出する育種親として有効であることを明らかにした.

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