栽培時期および果房による遭遇温度の違いがトマト国内品種の果実肥大に及ぼす影響を調査した.9品種を2014年および2015年の7月および9月に定植した.すべての品種で,いずれの年も9月定植に比べて7月定植において,調査した全果実における着果期の平均日数は長く,果実肥大期の平均日数は短かった.果重,果径および種子数は,いずれの年も9月定植に比べて7月定植において概ね有意に減少した.また,50 g以下の小果発生率は,いずれの年も半数以上の品種で,7月定植において有意に高かった.9月定植に比べて7月定植における果実肥大抑制程度が大きかった品種では種子数が減少しやすく,着果期日数の増加程度および果実肥大期日数の減少程度が大きかった.7月定植において,いずれの年も第1果房で果重が最小であった品種では,いずれの年も着果期における果房別平均遭遇温度が第1果房で最高であった.また,7月定植における全品種の着果期の果房別平均遭遇温度と果重および種子数の果房別平均値は強い相関関係を示した.本実験の7月定植における国内主力品種の果実肥大抑制には,種子数および果実肥大日数の減少が関与し,これには着果期の温度が大きく影響したと考えられた.