新たな地域特産品種による地域活性化を目的に,島根県出雲地域に自生するハマダイコンを活用した品種改良により,ひげ根の多い根部形状と強い辛みの特徴を有する「出雲おろち大根」‘スサノオ’を育成した.育種目標に基づいた集団選抜を重ねることにより,野生集団と比べ晩抽性やモザイク病抵抗性の向上傾向が認められた.採種後の‘スサノオ’種子は一般のダイコン品種と同様な発芽率の推移を示した.さらに本品種は他の品種と比較して,遊離アミノ酸,イソチオシアネート含有量,DPPHラジカル消去活性が顕著に高く,高い食品機能性を有する品種であると評価された.本品種は島根大学の登録品種として島根県を中心に普及を推進しており,近年では島根県を代表する辛味ダイコンとして流通が始まり,地域原産の特産農産物として地域振興に寄与している.