抄録
歯科用金属表面に接着性モノマー(β-メタクリロイルオキシェチルハイドロゲンサクシネート)を電着し,歯科用メタクリレート系レジンとの接着性の向上について検討してきた.本実験では歯科用金合金を対象に,電着時の処理条件(溶液濃度および電流)と接着強さについて検討した.併せて,これまでに明らかにした金銀パラジウム合金,コバルトクロム合金および純チタンの成績と比較検討した.その結果,以下のことが判明した. 金合金表面に接着性モノマーが電着され,カルボキシレートイオンとなってイオン結合を形成する一方,メタクリル基の二重結合は未反応のままであった.18カラット金合金とメタクリレート系レジンとの接着強さの向上に効果的な電着処理条件は,溶液濃度20~30%,処理電流0.5~1mAの条件であった.この条件での接着強さは11.5~13.3MPaであった.この値は歯科用金属4種の中では,最も大きい接着強さを示した.