側枝葉を残したトマト栽培における果実糖度向上の要因を明らかにするために,PETIS法を用いて11CO2のトレーサー実験を行い,側枝葉から果房への光合成産物の転流と寄与率を調査した.側枝第4葉に11CO2を投与した場合は約40分後から,果房直下主茎葉では約1時間後から果実への11Cの蓄積が確認された.果房に対する側枝葉の寄与率を,主茎第7, 8(果房直下主茎葉),10, 11および12葉と,側枝第1~4葉に11CO2を投与して果実への11C蓄積量を測定することで算出した.その結果,側枝葉4枚の第1果房への光合成産物の蓄積の寄与率は44.6~80.1%であった.側枝第4葉および果房直下主茎葉の光合成速度を計測したところ,単位面積当たりの光合成速度は,側枝第4葉が果房直下葉に比べて有意に高かった.以上のことから,側枝葉が寄与率44.6~80.1%で直上の果房への光合成産物の蓄積に大きな役割を果たしており,このことがトマトの側枝葉を残すことによる果実糖度の向上に影響を及ぼした可能性があると考えられた.