園芸学研究
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栽培管理・作型
マルチ栽培がウンシュウミカン果実のβ-クリプトキサンチンの蓄積および関連遺伝子の発現に及ぼす影響
濵﨑 櫻山家 一哲古屋 拓真久高 凜瀬岡 真緒馬 剛張 嵐翠加藤 雅也
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2020 年 19 巻 3 号 p. 293-298

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抄録

マルチ栽培でウンシュウミカン果肉のβ-クリプトキサンチン含量が増大するメカニズムを明らかにするため,カロテノイド代謝経路に関連する酵素遺伝子の発現を調査した.調査に用いた ‘青島温州’ の果実は,静岡県静岡市清水区の2か所の園地(A園地,B園地)で2017年8月から収穫までマルチ処理し,β-クリプトキサンチン含量は,11月下旬から12月上旬の収穫期において無処理より果肉で30%,フラベドで50%増大していた.これらの果実の果肉のカロテノイド代謝経路に関連する酵素遺伝子の発現量を調査した結果,発現量にみられたマルチ処理による変化はそれぞれの園地で異なっていた.A園地ではカロテノイド生合成経路のカロテン生成に関わるCitZDSが高まり,キサントフィル生成に関わるCitHYbCitZEPの発現が低かった.B園地ではカロテン生成とキサントフィル生成に関わる酵素遺伝子(CitPSYCitZDSCitLCYb1CitLCYb2CitHYbCitZEP)およびアブシジン酸への代謝に関わる酵素遺伝子(CitNCED2CitNCED3)の明らかな上昇がみられ,中でもカロテン生成に関わる遺伝子の発現量の上昇が大きかった.以上のことから,ウンシュウミカンの果実は,マルチ栽培によってカロテノイド代謝経路の酵素遺伝子の発現量が変動することが示され,特に,カロテン生成の高まりによって果肉のβ-クリプトキサンチン含量が増大している可能性が示唆された.

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