抄録
浄水場で発生する浄水ケーキを堆積発酵させる場面において,バーク堆肥の添加が浄水ケーキ中の無機態窒素量やマンガン含有量に及ぼす影響,また,発酵後の処理ケーキを培養土として利用した場合に,植物の生育に及ぼす影響について調査した.実験は,浄水ケーキおよび浄水ケーキとバーク堆肥の混合物を堆積発酵処理することにより,堆積中の温度と処理ケーキ中の窒素およびマンガンの挙動に及ぼす影響を比較検討した.その結果,
(1)バーク堆肥を予め添加することにより,発酵が促進されると同時に,処理ケーキ中の二価マンガン含有量が低減した.
(2)無機態窒素含有量は両区で傾向が異なり,添加区が無添加区より低い傾向であった.
(3)堆積発酵後の処理ケーキを原料にした培養土を作成し,ユウガオを用いた栽培試験を行った結果,浄水ケーキの混合割合が70%と高い場合には,バーク堆肥を予め添加した区が無添加区に比べマンガン含有量が低く,ユウガオの生育は良好となったが,混合割合が55,40%では両区に差はみられなかった.
本実験結果から,浄水ケーキを培養土原料として利用する際に,過剰の二価マンガンを低減するためには,有機物を添加し,発酵を促すことが望ましいことが明らかとなった.