抄録
九州霧島山系の標高別野生ツツジ集団について,形態調査で得られたデータをクラスター分析と主成分分析を用いて客観的に評価し,DNA分析の結果を重ね合わせることによって,霧島山系における標高別野生ツツジ集団の構造をより明らかにした.
1.クラスター分析により,霧島山系の野生ツツジ集団はミヤマキリシマ,ヤマツツジおよび中間帯の自然雑種集団を中心にした3つのクラスターを形成した.葉緑体DNAパターンの分布は,ミヤマキリシマとヤマツツジのクラスターはそれぞれ両種のパターンで占められており,自然雑種のクラスターでは両種のパターンが混在した.
2.主成分分析では,高い寄与率を示す第1主成分のみで霧島山系における野生ツツジ集団の形態的特性を表すことができ,標高別に配置すると,高山域のミヤマキリシマから中間帯の自然雑種集団,そして山麓域のヤマツツジにかけて連続的にこの第1主成分得点が増加した.また,葉緑体DNAパターンの分布から,第1主成分と葉緑体DNAの変異の関連性が示唆された.