抄録
雌雄異株で受粉が必要なために,収量が安定しないヤマブドウの安定生産を目指して,花粉を有機溶媒の中に貯蔵して翌年の人口受粉に利用する方法を検討した.
採取時の発芽率が50.6 %の花粉を−20℃の低温下と2種類の有機溶媒中に貯蔵した.低温下では貯蔵後189日,アセトン貯蔵区では117日で花粉の発芽力がほぼ失われたが,ジエチルエーテル貯蔵区では貯蔵1年後でも22.8 %の発芽率を保持した.
ジエチルエーテル中に貯蔵した花粉と当年に採種した新鮮な花粉をそれぞれ人工受粉し,結実率と果実品質に及ぼす影響を比較した結果,ジエチルエーテル貯蔵区の結実率は新鮮花粉受粉区に比べてやや劣ったが,十分な結実率が得られた.また,収穫時の果実品質には差が認められなかった.