本研究では,7種類のカンキツ(‘西南のひかり’,‘はれひめ’,‘不知火’,‘せとか’,‘津之輝’,‘麗紅’ および ‘青島温州’)を用いて,開花時期の早晩が生理落果および収穫時の果実品質に及ぼす影響を調査した.開花した時期により花(果実)は3つのグループに分類された.すなわち,早期開花区(満開前に開花したもの),中期開花区(満開期に開花したもの)および晩期開花区(満開後に開花したもの)である.調査された品種のうち,‘西南のひかり’ および ‘津之輝’ において,早期開花区の結実率は晩期開花区のものより低かった.それら以外の品種では,早期と晩期開花区で結実率に有意な差は検出されなかった.開花時期が重量に及ぼす影響は品種によって大きく異なっており,‘青島温州’,‘津之輝’ および ‘麗紅’ では,晩期開花区の果実が早期開花区のものより有意に重かった.一方,‘はれひめ’ および ‘せとか’ では,早期開花区の果実が晩期開花区のものより有意に重かった.‘西南のひかり’ および ‘不知火’ の果実重では,開花の早晩で有意差は検出されなかった.1果に含まれる糖および酸含量において,‘青島温州’ および ‘麗紅’ の早期開花区は,晩期開花区よりも有意に低かった.‘はれひめ’ および ‘せとか’ の1果当たりの糖含量は,早期開花区が晩期開花区よりも有意に高かった.‘せとか’ における1果当たりの酸含量は,早期および中期開花区が晩期開花区よりも有意に高かった.一方,‘西南のひかり’,‘不知火’ および ‘津之輝’ では,開花の早晩によって1果当たりの糖および酸含量に有意差は検出されなかった.