園芸学研究
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育種・遺伝資源
紫褐色に着色する宿存がくを有するホオズキのシンクロトロン光照射による突然変異誘発
坂本 健一郎高村 武二郎
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2021 年 20 巻 4 号 p. 387-397

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抄録

成熟前の宿存がくの一部が紫褐色を帯びるホオズキ系統について,宿存がくの着色要因を調査するとともに,シンクロトロン光を地下茎に照射し,宿存がくの紫褐色着色部分をはじめ各器官における変異個体の誘発を検討した.宿存がくの色素分析の結果,宿存がくの紫褐色部位の着色にはペチュニジン型およびマルビジン型のアントシアニンが関与していることが明らかとなった.また,シンクロトロン光照射による変異誘発により宿存がくの紫褐色着色部分が拡大または縮小した変異個体が認められ,照射処理した地下茎当たりの着色変異個体数は10 Gy照射区において高い値を示した.さらに,わい化や宿存がく着生数の増加,および宿存がくの小型化のような園芸的に有用な変異も認められた.以上のことから,シンクロトロン光照射による変異誘発は,ホオズキにおいて有効な育種方法であると示唆された.

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