園芸学研究
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新技術
日射強度に応じた遮光が夏秋栽培トマトの生育, 収量および果実品質に及ぼす影響
川口 岳芳上藤 満宏伊藤 栄治越智 資泰木場 剛志堀野 克己日高 功太尾崎 行生
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キーワード: 群落, 蒸散, 気孔, 光合成, 裂果
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2021 年 20 巻 4 号 p. 477-486

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抄録

夏季の高温および強日射による夏秋トマト栽培における生育および収量の低下を軽減するため,日射強度に応じて遮光資材を開閉する制御が可能な自動調光システムを考案した.さらに,光合成特性を基にシステムの制御方法を決定し,生育および収量への影響を明らかにした.個葉の光合成速度や群落の光環境の測定結果から,本システムの日射センサを施設内の植物茎頂部分に設置する場合,設定上限値の適正な範囲はPPFD 1200~1600 μmol・m–2・s–1,下限値は670 μmol・m–2・s–1以上とする.また,下限値は上限値に遮光資材の光線透過率を乗じた値未満とすることが望ましい.日射センサが日射強度を感知し遮光資材を開閉する制御インターバルは,PPFDに伴う光合成速度や気孔コンダクタンスの応答時間の測定結果から,遮光資材の開閉に必要な時間以上の範囲で,できるだけ短いことが望ましい.夏秋トマト栽培において,これらの制御方法に基づく遮光方法により,茎径の肥大低下や徒長がなく可販果収量の増加や裂果の発生軽減などの有効性が示された.

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