弘前大学では ‘紅の夢’ で課題とされた食味および貯蔵性などを改良した生食用赤肉品種 ‘HFF33’ を新たに育成した.DNAマーカーを利用した遺伝子型解析の結果,本品種は ‘東光’ に “赤肉親候補A” の花粉が交配したことにより作出された品種であると推定された.円錐形の果形で,果皮が ‘千秋’ と類似して滑らかで張っており,明瞭な縞模様を有し果肉が赤く着色する.樹姿は分枝型を示し,枝は‘王林’のように直立していないが太く折れやすい.育成地での収穫期は11月中旬,果実は400 g前後で,糖度は13.4°,酸度は0.6%前後であり,爽やかな酸味を有し生食できる.‘HFF33’ の有袋栽培は,果皮に発生する斑点状障害を完全に防ぎ,無袋栽培より果面が綺麗で鮮紅な果実を生産できる.極めて高い貯蔵能力を有し1-MCP処理の有無にかかわらず,貯蔵180日後まで貯蔵できるが,1-MCP処理により果肉硬度の低下を抑制できる.弘前大学では本品種を「美紅」として商標登録したことから,今後は商標を利用したブランド管理を行う予定である.