園芸学研究
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繁殖・育苗
ジベレリンペーストによる当年生リンゴ苗の新梢伸長の促進効果
馬場 隆士岡田 和馬守谷 友紀阪本 大輔花田 俊男岩波 宏
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2022 年 21 巻 2 号 p. 149-156

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抄録

リンゴ苗木の成長を促進する生産現場で利用可能な技術を開発することを目的として,ジベレリンペーストの塗布がリンゴの接ぎ木当年生苗の新梢伸長に及ぼす影響を調査した.接ぎ木後から8月までに2~3回頂芽付近にジベレリンペーストを塗布した場合,カラムナー性をもつ ‘ウィジック’ では有意に新梢伸長が促進された.これに対して,非カラムナー性の ‘ふじ’ では,新梢伸長が優れなかった温室内のポット栽培では新梢が長くなったものの,比較的伸長量が大きかった露地条件では伸長促進効果が認められなかった.そこで,発芽後から5回ジベレリンペーストを塗布したところ,非カラムナー性の ‘ふじ’,‘シナノスイート’,‘シナノゴールド’,およびカラムナー性の ‘ウィジック’,盛岡74号のすべての品種・系統において,無塗布や3回塗布の場合よりも有意に新梢伸長を促進できた.また,盛岡74号以外の4品種では副梢の数が有意に増加した.これらの結果から,ジベレリンペーストを生育期間中に5回塗布することにより,カラムナー性の有無を問わず,接ぎ木当年生のリンゴ苗の成長を促進できることが示された.

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