園芸学研究
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土壌管理・施肥・灌水
灌水がナス ‘千両’ の促成栽培における日焼け果の発生に及ぼす影響
佐野 大樹鷲尾 建紀
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2022 年 21 巻 2 号 p. 157-164

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抄録

ナス ‘千両’ を促成栽培している現地圃場では作土の含水比が小さい圃場で日焼け果の発生率が高い傾向が認められた.所内試験で日焼け果が発生しやすい3月から6月の約3か月間に,灌水開始点をpF 2.0およびpF 1.6としたところ,両区の間で収穫果実数および日焼け果発生率の違いは小さかった.しかし,灌水開始点をpF 2.3(乾燥区)またはpF 1.6(湿潤区)とする処理を行ったところ,木部溢泌速度は湿潤区で乾燥区に比べて有意に速く,日焼け果の発生率は湿潤区で乾燥区に比べて有意に少なかった.一方,土壌の腐植含量が20.0 g・kg–1と改良目標値を下回っていたハウスAでは,同30.5 g・kg–1であったハウスBに比べて全および褐変日焼け果発生率が有意に高かった.そこでハウスAにおいて有機物を3年間連用したところ,腐植含量が26.0 g・kg–1にまで増加し,3年間無施用として腐植含量が23.4 g・kg–1に低下したハウスBに比べて日焼け果の発生が少なくなった.以上から,‘千両’ の促成栽培における日焼け果の軽減のためには,有機物施用によって土壌の物理性に密接に関わる腐植含量を改善,維持したうえで,灌水開始点をpF 1.6~2.0に設定して土壌水分張力を圃場容水量に近い状態に保つことが適切と考えられる.

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