2022 年 21 巻 3 号 p. 299-306
トルコギキョウの春出荷作型において,中心部分の花弁に緑色部が残ったまま開花に至る着色不良花が発生することがある.本実験では,春出荷作型において花芽分化期と予想される時期の高温(27°C)処理が着色不良花の発生に及ぼす影響について調査した.高温処理実施期間(1月7日~2月18日)のガラス温室内の日平均気温は19°Cを下回った.主茎頂花については高温処理7日間では1月14日,1月21日,2月4日,処理14日間では1月7日以降の高温処理で着色不良花率が対照区より低くなった.一次側枝頂花については高温処理7日間では2月4日,処理14日間では1月28日以降の高温処理で着色不良花率が対照区より低くなった.花弁,雄ずいおよび雌ずいの数は高温処理区で対照区に比べて少ない傾向がみられた.また,頂花および側花における着色不良花の花器官数は正常花に比べて多かった.これらの結果から,高温処理によって着色不良花が減少することが明らかになった.春出荷作型では低温期に花器官が多数分化し,外側の花弁と内側の花弁の発達ステージが大きく乖離することから中心部分の着色が不十分なまま開花に至ると考えられた.