イチゴ促成栽培向けの新しい花芽分化促進技術である間欠冷蔵処理の開花促進効果の安定化を図るために,自然条件下での花芽分化が遅いとされる ‘さちのか’ と,比較的早いとされる ‘とちおとめ’ および ‘さぬき姫’ を用いて,自然条件下で生育させる非冷蔵処理期間の温度条件が頂花房の開花期に及ぼす影響について検討した.その結果,非冷蔵処理期間の高温による開花遅延の影響は品種によって異なり,‘さちのか’ が最も大きく,次いで ‘とちおとめ’,‘さぬき姫’ は ‘とちおとめ’ と同等かそれ以下であった.いずれの品種も冷蔵処理開始前3日間を含む非冷蔵処理期間の日平均気温が26°Cより高い場合に,頂花房第1花の平均開花日が遅れる傾向がみられた.特に ‘さちのか’ では,非冷蔵処理期間の昼温30~34°C,夜温22~26°Cの範囲において,夜温が高いほど開花が遅れる傾向があった.また,いずれの品種においても,冷蔵処理開始前3日間から定植までの非冷蔵処理期間のいずれか1回に高温遭遇した場合には,遭遇時期の影響はなく処理効果も低下しなかった.