2023 年 22 巻 2 号 p. 125-132
近年,クリの凍害の増加に伴い,穂木品種の耐凍性を向上させる台木の選抜が求められている.本研究では①ニホングリと接ぎ木親和性があり,かつ耐凍性を高める台木系統の選抜,②選抜系統の取り木繁殖の検討,③耐凍性向上メカニズムの解明の3点の実験を行った.ニホングリ ‘筑波’ と12種類の実生台木の接ぎ木親和性を調査したところ,活着率は ‘銀寄’ 台で約95%と最も高く,チュウゴクグリ台は4~37%と低い値を示した.しかし,江西省台‘筑波’の凍害発生率は,他の台木の枯死樹率が50~100%であった中で,枯死樹が全く発生せず,強い耐凍性を示した.本台木の取り木繁殖性を調査したところNo. 345系統の発根率は64.7%に達し,取り木繁殖が可能であることが明らかとなった.また,No. 345系統はニホングリ ‘筑波’ と接ぎ木不親和の症状を示さず,得苗率は41.2%となった.チュウゴクグリNo. 345台 ‘筑波’ は,冬季の枝含水率および芽の耐凍温度が慣行台に比べて低く,圃場における凍害発生率も減少した.このように,本研究で選抜した取り木繁殖可能なチュウゴクグリNo. 345系統は,ニホングリ ‘筑波’ と接ぎ木親和性があり,強い耐凍性を獲得しており,ニホングリの耐凍性を向上させる新規クリ台木として利用可能であることが示された.