調査した農家圃場のイチジク ‘桝井ドーフィン’ 樹は,5年ほどの間に年々樹勢が低下し,いわゆる「いや地」被害の状況にあった.これらの樹に,緑化樹の枝葉を素材とする木質堆肥を,1 m2当たり約0.4 m3の量で樹冠下の地表にマルチ施用した.その結果,施用2年目には無施用に比べて樹勢の衰弱が軽減され,その効果は施用6年後も持続していた.また,無施用樹でみられた着果数や果実肥大の減退も回復が見込めた.木質堆肥を施用した土壌は,無施用に比べてCECや腐植が高く,三要素の中では硝酸態窒素と交換性カリウムの濃度が高かった.本調査から,木質堆肥の施用が,いや地被害で衰弱したイチジク樹の樹勢回復の一助となり, その効果に, 少なくとも木質堆肥施用による土壌の理化学性の改善が関与している可能性が考えられた.