園芸学研究
Online ISSN : 1880-3571
Print ISSN : 1347-2658
ISSN-L : 1347-2658
栽培管理・作型
夜間単色LED照射がガーベラの成長と切り花品質に及ぼす影響
中塚 貴司松島 千尋遠山 園華江藤 公亮梅田 さつき寺田 吉徳
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 22 巻 4 号 p. 295-302

詳細
抄録

ガーベラは,春に苗を定植後2~3年は採花を続ける周年栽培が確立している.本研究では,夜間の異なる時間帯で赤色(R)または遠赤色(FR)光の照射が,ガーベラの栄養成長や切り花品質に及ぼす影響について調査した.ガーベラ品種‘サンディ’の1年株を供試した.日没後 + 暗期中断RまたはFR照射,終夜R照射区では,花茎長と切り花重が無照射区と比べて増加した.葉SPAD値は,R照射区では増加したが,一方FR照射区では有意に減少した.夜間の時間帯うち,暗期中断が花茎伸長に対して最も感受性が高かった.花茎長の伸長にともない,花茎重や頭状花序サイズの減少は見られなかった.7–8月のR光暗期中断照射では,花茎伸長効果が見られなかった.R光の15分(計75分)または30分(計150分)の間欠照明では,葉の伸長や立ち葉の形成が見られ,栄養成長を促進した.本研究では,R光による暗期中断照射は,ガーベラ株の栄養成長を促進し,切り花の花茎伸長や切り花重の増加を誘導していると推定した.R光暗期中断照射処理は,ガーベラの採花本数を減少させることなく,上位等級の切り花の占める割合が増加されることが期待できる.

著者関連情報
© 2023 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top